序章待ち望んでいた時代が来た
monosashi space が生まれる前、建築士はひとりで試行錯誤していた。ChatGPTが登場するより前から、JavaScriptやSwiftを独学し、iOSアプリやWixのWebアプリを少しずつ形にしてきた。「コードがある程度読める」という状態を目指しながら、英語力もじわじわと上がった。そして転機が来た。AIの能力向上に比例して、長年「自動化したい」と思い続けていた業務が、一気に形になり始めた。外皮計算、ダクト計算、構造検討——建築設計の実務を支える計算業務がコードになる。インプットに対して期待以上のアウトプットが返ってきた瞬間、「待ち望んでいた時代が来た」と感じた。ここから発想が広がる。kintoneやWixなど長年使ってきたサービスが、自作に置き換えられると気づいた。単体のアプリから始まり、アプリ同士を連携させるためのプラットフォーム構想が生まれた——それが monosashi space だ。実際に使いながら改良するスタイルが確立され、やがて「せっかく作ったのだから、これを商売にできないか」という欲も出てきた。さまざまな構想が広がり、多くの夢が描かれた。しかし同時に、不安もよぎった。自分をここまで連れてきたのはAIの進歩だ。ならば、さらなるAIの進歩によって、自分のやっていることが一気に陳腐化するのではないか——その問いが、次の章の対話へとつながっていく。